日本

GRIFFINマガジン - 2024年5月29日

「2024年問題」で加速するドライバー不足。有効な対策とは?

2024年4月よりドライバーの労働時間に上限が課され、いわゆる物流・運送の「2024年問題」への取り組みが急務となっています。労働時間が制限されることで、ドライバーの労働環境の改善につながる一方で、収入が減って離職するドライバーが増えるというネガティブな影響も懸念されています。

 

スウェーデンに本社を置き、グローバルに事業を展開するScania(スカニア)は、地域特有の課題に寄り添ったソリューションの提供を通じてお客様のビジネスをサポートしてきました。ここでは、2024年問題によって加速するといわれているドライバー不足に注目し、その原因や有効なソリューションについて解説します。

ドライバー不足の原因と背景

ドライバー不足にはどのような背景があるのでしょうか。主な原因は、以下の通りです。

・若手ドライバーの減少

以前より若手ドライバーの減少が指摘されていましたが、2024年問題によってそれが加速し、ドライバーの高齢化がさらに進むと考えられています。少子高齢化だけではなく、低賃金などドライバーの働く環境にも起因しており、労働条件の改善が喫緊の課題です。

・宅配需要の増加

ネット通販の拡大などにより、宅配需要は増加傾向にあります。また、社会的な高齢化に伴う買い物困難者の増加や、女性の社会進出、多様化するライフスタイルなども需要を後押ししていると考えられます。

・女性の進出の遅れ

女性の社会進出が進む一方、女性トラックドライバーの割合は2021年時点で3.6%と、非常に低い割合で推移しています。長時間労働や荷下ろしなどの重労働に加え、妊娠・出産・育児などの女性のライフスタイルに合わせにくい働き方がその要因とされています。

・免許制度の改正

2017年の運転免許制度の改正により、この年以降に普通免許を取得した場合、最大積載量2トン以上のトラックを運転する際には準中型免許が必須となりました。普通免許とは別に準中型免許を取得しなければならず、若年層の参入を阻んでいるとの指摘も見られます。

・収入の減少

労働時間が制限されることでドライバーの収入が減少し、低賃金化が進むことが懸念されています。もともと、トラックドライバーの年収は全産業と比較しても低い水準にあり、労働時間の短縮がさらなるドライバー不足を招くおそれがあります。

ドライバー不足の解消につながる対策

公益社団法人鉄道貨物協会は、2028年度にトラックドライバーが27.8万人不足するとの試算を明らかにしています。ドライバー不足の解消には、どのような対策が求められるのでしょうか。

労働環境の改善

まず考えたいのが、労働環境の改善です。長く働き続けるためには、昇給や昇進などの報酬体制の見直しが急務であり、そのうえでシフト制の導入や拘束時間の短縮など、柔軟な働き方の実現が求められます。また、運転業務に専念できる環境の整備も必要です。

 

政府は、2024年2月にまとめた「2024年問題」に対する中長期計画で、荷待ち・荷役の作業時間を2030年度までに年125時間以上減らす(2019年度比)目標を掲げています。さらに、ドライバーの賃金については、2024年度に10%前後の引き上げを目指す方針を明らかにしています。

持続可能な輸送システムの構築

ドライバー不足への対策として、鉄道や船舶を利用した「モーダルシフト」も有効な手段とされており、政府は今後10年ほどで、鉄道や船舶による輸送量を倍増させる目標を表明しています。将来的には、自動運転技術や、地下の道路空間を活用した物流システム「自動物流道路」の構築、自動運行船などで持続可能な輸送システムを構築することも、ドライバー不足の解消につながるでしょう。


参考記事:「2024年問題」にどう向き合う? 三つのソリューションとそれぞれの課題

荷主や消費者の行動変容

物流を維持していくためには、運送業者だけではなく、荷主や物流に関わる事業者、消費者の意識改革も欠かせません。

 

特に、運送業者との連携が多い荷主には、さまざまな行動変容が求められています。例えば、古くからの商習慣を見直し、多重下請け構造を解消することもその一つです。また、荷待ちや荷役時間の短縮のために、自動フォークリフトや無人搬送車の導入、パレットやコンテナの規格の統一も求められます。

 

政府も、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視強化を目的とする「トラックGメン」の創設や、「送料無料」表示の見直しの促進などの取り組みを行っています。また、再配達削減に向けた消費者の行動変容も、ドライバーの負担の軽減につながるでしょう。

スカニアが提供するソリューション

130年以上にわたり、地域の課題やビジネスの特性に合わせて輸送ソリューションをご提案しつづけてきたスカニア。日本が直面する「2024年問題」においても、課題の解決に貢献し、お客様がさらに競争力を強化できるようサポートしたいと考えています。

2024年問題を見据えた車両の提供

スカニアの車両は、ヨーロッパの長距離輸送を考慮して設計されており、ドライバーの快適性を重視しています。収納性やゆとりある室内スペース、休息用ベッドの心地よさに加え、ドライバーが運転に集中できる設計を実現しています。実際にスカニアを導入された企業からは、「居住性が高く、ドライバーにとってやさしい車両である点は特出したメリット」「社内でもスカニアに乗りたいという声が多くあがっている」「ドライバーの採用面での効果がかなり大きい」などの感想をいただいています。

 

参考記事:<株式会社平野ロジスティクス>スカニアで輸送効率を向上させ、ドライバー不足を改善

参考記事:<株式会社大矢運送>安全にクレーンを運び、建設現場を明るくする。スカニアがもたらす新たな価値


また、視界が広く操縦しやすいため、女性ドライバーからも好評で、ドライバーのモチベーション向上にも貢献しています。業界で最も高い女性ドライバーの比率を誇り、女性ドライバーのニーズにより適した一連の車両のアップグレードを計画しているスマートビジョンロジスティックス 社(SVL)も、スカニアを輸送車両として導入しています。

そして、2023年11月に販売を開始した新型スカニア「SUPER」は、「2024年問題」にまつわる課題解決を視野に入れた革新的なパワートレインを搭載しています。また、業界トップクラスの燃費効率とあわせて、当社比最高品質のプレミアムで快適な車内室内環境を実現しました。前述のスマートビジョンロジスティックス 社(SVL)も、SUPERが提供するソリューションに注目。キャビン内の革新がより安全で快適な労働環境の確保に役立つとし、同社がトラックキャビンを快適化することで女性ドライバーにアピールし、より多様な組織づくりに貢献していることにも通じるとしています。

スマートな運転を支援するデジタル技術の活用

スカニアでは時代のニーズに合わせ、最先端の技術を活用したデータ駆動型のサービスを提供しています。それを象徴するのが、SUPERが提供する車両管理者用のオンラインプラットフォーム「My Scania」と「フリートアプリ」、そしてドライバー用の「ドライバーアプリ」です。日本でのドライバーアプリの運用開始は、2024年中を予定しています。

これらのソリューションを導入することで、スカニアが提供するすべてのアプリケーションが統合され、パソコンやタブレット、スマートフォンのどこからでも必要なサービスにアクセスできるようになります。すなわち、My Scaniaは、スカニアのすべてを一元化する「デジタル・エコシステム」といえます。また、SUPERには最新のフルデジタルクラスタ「スマートダッシュ」が搭載されており、そこにMy Scaniaやドライバーアプリも含まれています。

さらに、オプションのデジタルサービスとして提供している「コントロールパッケージ」には、車両のパフォーマンスを迅速に把握できる「モニタリングレポート」や、メンテナンス・修理の必要性を効率的に確認できる「サービスプランニング」、ドライバーの運転時間に関する情報を入手できる「車両位置情報」、ドライバーの運転動向を提供する「ドライバー評価」などが含まれています。こうしたデジタル技術の活用により、輸送効率や燃費向上、経費削減だけではなく、ドライバーの安全やスマートかつ快適な運転をサポートしています。

ドライバーにとって魅力のある環境づくりを

今後、加速することが予想されるドライバー不足を解消するためには、現状の課題解決はもちろん、ドライバーにとって魅力的な労働環境の構築が不可欠です。

 

スカニアは、ご提供する製品やサービスを通じて、ドライバーの職場環境の改善にアプローチし、2024年問題の解決に貢献していきます。また、ドライバー不足などの背景を踏まえ、今後も時代のニーズに合ったサステナブルな車両の開発を積極的に進めていきます。

 

スカニアの技術力を結集した新型スカニア「SUPER」の詳細につきましては、以下のページよりどうぞご確認ください。