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GRIFFINマガジン - 2024年6月13日

トラック運送業界でも重視される環境対策。競争力を高めるアプローチとは?

環境問題への取り組みは、いまやあらゆる企業にとって重要な経営課題の一つです。日本政府も、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指すことを宣言しており、物流・運送業界も例外ではありません。


2024年問題への対応も迫られるなか、どのような対策を行えばよいのでしょうか。日本のトラック運送における課題と有効とされるアプローチを踏まえ、環境先進国・スウェーデンに本社を置くScania(スカニア)の環境対策について解説します。

日本のトラック運送業界における環境への取り組み

まずは、日本のトラック運送業界の現状を見てみましょう。2019年度の国内のCO2総排出量は11億800万トンで、そのうち運輸部門が2億596万トンを占め、さらにその約2割が営業用トラックから排出されたことが明らかになっています。


こうした状況を受け、公益社団法人全日本トラック協会は、トラック運送業界で2030年のCO2排出原単位を2005年度比で31%削減することを目指す「トラック運送業界の環境ビジョン2030」を策定しました。このなかでは、事業所の節電やウェブ会議の活用による出張回数の低減、ゴミの削減など、運送事業以外で取り組める対策も提案されています。物流・運送業界が直面する2024年問題への対策として、モーダルシフトによる輸送の効率化や共同配送システムの構築といったソリューションへの効果が期待されていますが、これらもCO2排出量の削減や環境負荷の低減につながるアプローチとなります。

トラック輸送による環境負荷を減らすために

運転方法や車両の性能によっても環境負荷は大きく変わります。トラック輸送を担う各企業に求められる対策について、詳しく見ていきましょう。

環境負荷を減らすドライビングの推進

CO2の排出量を削減し、環境への負荷を減らすためには、エンジンの回転数を必要以上に上げない「エコドライブ」を心がけることが大切です。例えば、急発進や急加速を避け、ゆっくりと加速して早めにシフトアップするなどの対策があげられます。また、周囲の交通状況に合わせつつなるべく一定の速度で走行し、不要な加速や減速を控えるのも有効です。さらに、エンジンブレーキや補助ブレーキを上手に活用することでも、環境負荷を低減できるでしょう。

アイドリング対策

アイドリング対策は、環境への配慮だけではなく、燃料消費の抑制にもつながるアプローチです。大型トラックが1時間アイドリングを続けると、約1.5リットルもの燃料を消費するともいわれています。

・ドライバーの意識向上

アイドリングが環境に与える影響は、なかなか実感しにくいものです。まずは、ドライバーがアイドリング対策について知識を深める必要があるでしょう。トレーニングや教育プログラムを通じた啓発のほか、アイドリング時間を確認できるツールを導入して見える化を図ることも、ドライバーの意識向上につながります。

・ドライバーの休憩室を設置

一方で、アイドリングを控えるのが難しい状況もあります。例えば、真夏にエンジンを止めたまま車内に長時間滞在すると、熱中症のリスクが高まります。作業場所の付近にエアコンが完備された休憩室を設置するなど、ドライバーの快適性も考慮した対策を取り入れることが大切です。

・アイドリングストップ支援機器の活用

休憩所の利用が困難な場合は、アイドリングストップ支援機器が役立ちます。全日本トラック協会も、アイドリングストップの励行を支援するため、エンジン停止時でも使用できるエアヒータや車載バッテリー式の冷房装置など、車載用冷暖房機器の購入費用の一部を助成しています。

環境性能が高い車両の導入

国内外で環境保全への意識が高まるなか、環境性能に優れた車両の開発が急速に進んでいます。鍵となるのは、低炭素と燃費効率です。初期費用は必要となりますが、燃費の改善は環境面だけではなく経営面でも有利に働きます。

 

また、環境省と国土交通省の連携事業として、中小トラック運送業者を対象にした低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業も実施されています。こうした後押しもあり、燃費効率の高い車両や低炭素型の車両の活用は、今後さらに広がることが予想されます。

 

スカニアが提供する環境対策

スウェーデンに本社を置き、グローバルに事業を展開するスカニアは、早くから環境対策に取り組んできました。持続可能な輸送ソリューションを提供するために、バリューチェーン全体でサステナビリティに取り組んでいます。

グローバルで評価されるスカニアの環境配慮

この度、スカニアが提供する新型パワートレイン「SUPER」が、ドイツのトラック・輸送の専門雑誌が主催する「グリーントラックアワード2024」を受賞しました。


グリーントラックアワードは、ヨーロッパのトラックメーカーのなかから、特に高い燃料効率を実現した長距離トラックに贈られる賞です。公平な条件下で実施された性能テストにおいて、輸送効率と燃料性能が優れている点が評価されました。グリーントラックアワードの受賞はこれで9度目であり、スカニアの環境配慮への取り組みが評価されている証といえるでしょう。

エンジン停止時に稼働する冷暖房システムを装備

スカニアは、環境への配慮とあわせて、ドライバーの快適性を確保することを重視しています。アイドリングをすることなく、キャブ内のエアコンを使用できるシステムもその一つです。

 

スカニアの完成ウイング車では、補助キャブクーラーおよび補助ヒーターが標準でエアコンシステムに統合されています。そのほかの一部車両には、オプションにて搭載が可能です。バッテリー駆動の純正部品であり、季節や天候に左右されることなく、エンジンを停止した状態でもキャブ内の室温を快適に保つことができます。

包括的なメンテナンスプログラムの提供

メーカーの推奨に沿って定期的にメンテナンスを行うことにより、車両の燃料効率のパフォーマンスをベストな状態に保ち、環境の持続可能性に貢献することができます。

 

スカニアは、スカニアのトラックの稼働時間を最大化するために、純正のプレミアム部品とプレミアムグレードのオイルやクーラントを使用した包括的なメンテナンスプログラムを提供しています。お客様がビジネスを展開するうえで、生産性と環境の持続可能性の両方において効果を得られるようにサポートしています。

環境負荷の軽減につながる独自の技術

輸送可能なエコシステムへの移行を推進するスカニアでは、環境への影響を最大限に考慮し、さまざまなサービスや独自の機能を提供しています。その技術を集結させたのが、2023年11月に日本での販売を開始した、新型スカニア「SUPER」です。5年の歳月と総額20億ユーロ(日本円で約3,140億円)を超える研究開発費を投じ、自社開発した革新的なパワートレインを搭載しています。

 

そんなSUPERが提供するのが、オンラインプラットフォーム「My Scania」です。「フリートアプリ」やドライバー用の「ドライバーアプリ」と連携することで、スカニアが提供するデジタルサービスのすべてを一元化し、パソコンやタブレット、スマートフォンのどこからでもアクセスできるようになります。

 

オプションのデジタルサービスである「コントロールパッケージ」では、燃費や急ブレーキ、惰性走行、CO2排出量を確認できる「モニタリングレポート」のほか、アイドリング時間など車両性能を深く掘り下げて分析し、燃費改善などの向上に役立つ「車両パフォーマンス」、ドライバーの運転動向を報告する「ドライバー評価」など、環境保全につながるさまざまなサービスを利用することができます。

自社のビジネスに合わせたアプローチを

環境保全への取り組みには、長期的な視点が欠かせません。環境にやさしい車両の活用やエコドライブの実践は、環境負荷を低減するとともに経営パフォーマンスを向上させる重要なアプローチです。自社の今後のビジネス展開も見据えて、対策を考えていく必要があるでしょう。

 

スカニアは、時代のニーズに沿った開発を積極的に進め、これまでに培った経験と最新の技術、グローバルな視点で輸送ソリューションを提案していきます。2024年問題に挑む「SUPER」は、そんなスカニアの技術力を結集した新型パワートレインです。詳細につきましては、以下のページよりどうぞご確認ください。