GRIFFINマガジン - 2024年11月25日
データでつなぐ運送の未来。スカニアのデジタルエコシステム「My Scania」と「Scania Driver App」
「車両から得られるさまざまなデータを、効率的な運送にどう活かせばよいのか」。この課題に対して、スウェーデンに本社を置くScania(スカニア)が提案しているのが、運行管理者向けポータル「My Scania」とドライバー専用アプリ「Scania Driver App」を軸としたデジタルエコシステムです。
ここでは、最新のデジタル技術で運送業の未来を支える、スカニアの最新ソリューションをご紹介します。
業務をトータルでサポート。スカニアのデジタルエコシステム
スカニアのデジタルエコシステムとは、デジタル技術を活用して運送事業者の業務をトータルにサポートする包括的なシステムです。車両に搭載されたコンピュータから得られる各種データをもとに、運行管理者とドライバーの双方をサポートし、業務の効率化と安全性の向上を実現します。
このシステムは、主に次の4つの課題解決に焦点を当てています。
1. 業務効率化
車両管理プロセスのデジタル化により、運送業務の効率を大幅に向上させます。メンテナンススケジュールの見える化や計画的なメンテナンスの実施が可能になり、車両の稼働率を最大限に引き上げることができます。
2. コスト最適化
燃費データの管理を通じて、燃料コストの削減に貢献します。運転状況の可視化により、効率的な運転を促進し、経費の削減につなげます。
3. 安全性向上
ドライバー評価システムを通じて、「安全」かつ「高効率」な運転への意識転換を促します。運転データに基づいた具体的なフィードバックにより、安全運転の習慣化をサポートします。
4. 環境対策
燃費データの管理を通じて、燃料コストの削減だけではなく、CO2排出量の削減にも貢献します。環境負荷の低減は、現代の運送業界における重要な課題の一つです。
このデジタルエコシステムの中核となるのが、運行管理者向けのポータルサイト「My Scania(マイスカニア)」と、ドライバー専用のスマートフォンアプリ「Scania Driver App」です。両者は相互に連携しており、同じデータを共有することで、運行管理者とドライバーの間でスムーズなコミュニケーションを実現します。
例えば、ドライバーが日々の運転で得られる評価データについては、ドライバーアプリでは本人が自分の評価を、My Scaniaでは運行管理者が全ドライバーの評価をまとめて確認することができます。これにより、運転技術の向上や安全運転の促進に向けた効果的な取り組みが可能になります。
このように、スカニアのデジタルエコシステムは、単なる車両データの収集にとどまらず、それを実際の業務改善や安全性向上、コスト削減につなげる実用的なソリューションとして機能しています。
24時間365日、車両の状態を確認できる「My Scania」
My Scaniaは、スカニア車両の運行管理者向けのWebポータルです。24時間365日、インターネットを通じて車両の状態や運行状況を確認できる便利なツールとして活用されています。
My Scaniaのアカウント作成自体は誰でもできますが、実際のシステム利用には運送会社の管理者からの招待が必要となります。この仕組みにより、よりセキュリティの高い環境でのデータ管理が実現されています。
運行管理者のメリット
多くの車両を管理する運行管理者にとって、このシステムを利用する最大のメリットは、さまざまなデータを活用した効率的な車両管理が可能となることです。
車両から得られる運行データはグラフィカルに表示され、直感的に理解しやすい形で提供されます。これらのデータをExcel形式でダウンロードすることもでき、他メーカーの車両データと組み合わせた分析も可能です。このようなデータの可視化により、フリート全体の効率的な管理と、データに基づく的確な意思決定を行うことができます。
また、計画的なメンテナンス管理も、大きなメリットの一つです。車両の走行距離や使用期間をベースに、最適なメンテナンス時期を把握できるため、予防保全の取り組みを効果的に進められます。これにより、予期せぬ故障によるダウンタイムを減らし、整備コストの削減にもつながります。
基本機能は無料パッケージとして提供
My Scaniaの基本機能は、無料のモニタリングパッケージとして提供されています。このパッケージでは、車両の走行データや燃費データを確認できるほか、週次で更新されるモニタリングレポートでフリートの使用状況を把握できます。さらに、環境報告書でCO2排出量や燃料消費量を確認したり、点検整備実施計画を管理したりすることも可能です。
より高度な管理機能が必要な場合は、「コントロール10」という有料パッケージを選択できます。このパッケージでは、車両の現在位置をリアルタイムで追跡できるようになり、ルートの最適化や遅延対応の迅速化が可能になります。また、特定エリアへの車両の進入や退出を監視するゾーン設定機能も利用できます。
さらに、ドライバー評価の総合管理機能にも対応しており、全ドライバーの運転評価をまとめて確認でき、グループ別の分析なども行うことができます。この機能を活用し、運転技術を可視化することで、ドライバー向けトレーニングなどを行って運転技術の向上を促したり、優秀なドライバーへの報奨制度を設けたり、といった取り組みにも活用されています。また、こういった機能を使って年間200万円程度の燃料コスト削減に成功した事例も報告されています。
導入に際しては、販売店による丁寧なサポートや動画マニュアルなどを通じて、はじめての方でもスムーズに利用を開始できるようになっています。まずは、無料のパッケージから「My Scania」の利便性を体験してみてください。
安全な運転をサポートするドライバー向け「Driver App」
スカニアのドライバー向けに開発された無料のスマートフォンアプリ「Driver App」も、デジタルエコシステムを語るうえで欠かせない存在です。
ドライバーのメリット
ドライバーにとって「Driver App」を利用する大きなメリットは、自身の運転技術を客観的に把握し、継続的に改善できる点にあります。運転評価の履歴をグラフで確認でき、技術の向上を実感できるほか、効率的な運転は燃費の向上にもつながります。
・運転技術の向上にもつながる運転評価システム
数ある機能のなかでも特に注目したいのが、ドライバーの運転を「速度」「アイドリング」「惰性走行」「予測運転」の4つのカテゴリーで評価する「運転評価システム」です。
例えば、前方の車両が減速しているときのアクセル操作から、惰性走行の活用状況まで、さまざまな運転状況が詳細に分析されます。結果はわかりやすく表示され、改善のためのアドバイスも提供されます。熟練ドライバーであっても、こうした客観的な評価とアドバイスにより、さらなる運転技術の向上が期待できます。
・トラブルへのスムーズな対応を促す車両管理機能
また、車両管理機能も充実しており、運転前の点検結果を写真付きで報告できるほか、車両の状態確認も可能です。不具合を発見した場合は、すぐに報告できる体制が整っています。万が一運転中に車両にトラブルが発生した場合も、現在地から最寄りのスカニアディーラーを検索し、スムーズに入庫することができるようになっています。
運行管理者のメリット
運行管理者にとっても、「Driver App」は重要なツールです。ドライバーと同じデータをMy Scaniaで共有できるため、双方向のコミュニケーションが可能になります。例えば、運転評価について具体的な数値をもとに話し合うことで、より効果的なスキルアップにつながります。また、車両の状態や点検結果もリアルタイムで共有されるため、迅速な対応を実現できます。
前述のように、運行管理者は、My Scaniaを通じて全ドライバーの評価を一括で確認し、分析することも可能です。これらの知見を活かして、より効果的なスキルアップや、モチベーション向上につながる評価制度の構築などにも寄与します。
このように、Driver Appは単なる運転評価ツールではなく、ドライバーと運行管理者をつなぐコミュニケーションプラットフォームとしても機能します。両者が同じデータを共有し、同じ目標に向かって取り組むことで、安全性の向上、燃費の改善、そして業務の効率化を実現することにもつながります。
さらなる進化を続けるMy Scania
スカニアは、時代のニーズに合わせた優れた車両の提供はもちろん、このデジタルエコシステムを通じて、お客様の課題や事業全体の発展のサポートを目指しています。今後も、AIやセンサーデータを活用した新機能の追加、予測メンテナンス機能の導入など、さらなる進化を続けていく予定です。
運送業界のデジタル化が進むなか、スカニアのデジタルエコシステムは、お客様とともに未来の運送業界を築いていくための強力なパートナーとなることでしょう。
データを活用した効率的な車両管理を実現するMy Scaniaについては、こちらのページもご覧ください。